名古屋大学が推薦で女性枠 旧帝大初

 

 

2023年度の入試から,名古屋大学は,工学部の2学科で,推薦入試の女性枠を創設します。

 

 

 

さて,こういった女性優遇政策を聞くと, 

 

憲法の保障する男女平等の精神に反するのではないかという疑問を抱く人もいるかもしれません。

 

 

日本国憲法 第14条1項は,

 

すべて国民は,法の下に平等であって,人種,信条,性別,社会的身分又は門地により,政治的,経済的又は社会的関係において,差別されない。

 

 

と定めています。

 

 

 

日本国憲法は,あくまで国や地方公共団体を縛るものなので,一般私人の行為には直接的にも間接的にも適用されません。

 

ところが,たとえ私人であっても,この平等の精神に反することをして他人に損害を与えた場合,民法第709条により,不法行為に基づく損害賠償請求をされる等のリスクがあります。

 

※民法 第709条

 故意又は過失によって他人の権利または法律上保護される利益を侵害した者は,これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

 

 

 

 

では,入学試験で女性を優遇することは,憲法第14条が保障する平等の精神に反するものとなるのでしょうか?

 

 

憲法第14条の保障する「平等」とは,いかなる区別も禁止する絶対的平等を意味するものではなく,合理的な区別は認められ不合理な差別を禁止する実質的平等を意味するものであると言われています。

 

 

 

 

 

 

文部科学省も,合理的な理由がある場合を除き,性別や年齢などで一律に取り扱いの差異を設ける合否判定を禁止しています。

 

つまり,合理的な理由があれば,性別や年齢などで一律に取り扱いの差異を設ける合否判定は許可しています。

 

 

 

 

 

名古屋大学は,女性研究者を増やし多様性を推進する目的で,工学部の2学科の推薦入試で女性枠を設けるとのことです。

 

入試の女性枠は,名古屋工業大学や芝浦工業大学などでは既に導入されていますが,旧帝大では名古屋大学が初になるそうです。

 

 

 

 

※旧帝大(きゅうていだい)とは,北海道大学,東北大学,東京大学,名古屋大学,京都大学,大阪大学,九州大学の7つの国立大学を総称する言葉です。大日本帝国時代に帝国大学として設立されたことから,現在でも旧帝大や七帝大(しちていだい)とか呼ばれていたりします。

 ちなみに,大日本帝国時代には,台北(現在の国立台北大学)とソウル(現在のソウル大学)にも帝国大学がありましたが,諸般の事情によりその2つの大学を旧帝大と呼ぶことはしておりません。

 

 

  

 

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