東京地方裁判所は、令和4年3月22日、バリアフリー住宅を注文していたにもかかわらず玄関に高さ18センチの段差などがあるとして、約486万円の補修費用相当額の損害賠償と50万円の慰謝料の支払いを認めました。
原告は、被告(住宅メーカー会社)に対し、重度の障害を持つ息子のために、床面が平坦なバリアフリー住宅を注文していました。
ところが、被告が玄関に段差を設けるなどしたため、原告は住宅の建て替え費用や慰謝料など合わせて約3300万円を請求していました。
東京地方裁判所は、
「一般に、注文住宅においては、施主の意向に沿って間取りや設備等が決定されるのであるが、その選択の幅が広い上に、検討を要する専門的・技術的な事項も多いため、施主が具体的に特定して的確に指示することが容易ではない」
とした上で、
「住宅メーカーは、施主の希望をよく聴き取り、その希望に沿って、技術的に可能で合目的的な建築をするために施主に対する助言を行いつつ、施主の要望を具体化して、設計・施工に反映させるべき義務を負うと解すべき」
と判断しました。
そして、
原告らは段差のないバリアフリー住宅を希望していたにもかかわらず、被告が原告の希望に適合しない住宅を設計・施工したことで、建物には契約内容に適合しない瑕疵があるとし、段差解消に要する修繕費の支払いを認めました。
さらに、
被告の原告への対応が著しく不適切で、原告が受けた精神的苦痛は多大であるとして、原告の息子に対する慰謝料請求も一部認めました。
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