事務所通信 令和7年3月号

退職代行とは?

 

 近年、耳にするようになった退職代行サービス。年度末を迎える3月では企業の人事異動や新生活に伴い、利用者が増える傾向にあります。退職代行サービスとは、本人に代わって退職の意思を会社に伝えるサービスで、若手社員や退職を言い出しにくい環境の労働者に需要が高まっています。一般的に退職代行サービスというと民間代行サービスを指すことが多いですが、場合によっては労働組合や弁護士で対応する方が効果的な場合もあります。

 

 

            特徴

交渉の可否

     費用

民間代行会社

低価格で手軽に利用できる。退職連絡のみしたい方向け。

  ×

    低

労働組合

団体交渉権があるため、退職金等、会社と交渉できる。

  〇

    中

弁護士

未払い賃金請求やパワハラ等による損害賠償対応も可能。

  ◎

    高

 

 

 退職を考えた際に、まず検討すべきは「自分で直接会社に連絡できるか」です。円満退職を希望し、職場環境が比較的穏やかであれば、直属の上司に口頭または書面で退職の意思を伝えます。しかし、上司に言い出しにくい環境や、 退職を拒否される恐れがある場合は、退職代行の利用が有効な手段となる場合もあるかもしれません。

また、違法な長時間労働や未払い賃金がある場合は、弁護士に相談することで適切な対応が可能となります。

 

 

退職代行を使われた場合、会社側はどう対応すべきか?

 民法では、原則退職の自由が認められています。正社員等の無期雇用の労働者は退職の2週間前までに申入れば退職できます。退職の意思表示は退職届等の書面提出でなくとも、口頭やLINE等のメッセージでの退職の意思表示も法律上有効となります。判例では会社の就業規則よりも民法の方が優先されるためご注意ください。

 

 なお、有期雇用の労働者が一方的に退職した、退職時に他の従業員も引き抜いて行った、多額の海外研修等経験後短期間での退職、無断欠勤により出社拒否、労働者の責めに起因するトラブル等の場合は労働者に対する損害賠償請求が可能な場合もありますので弁護士にご相談ください。

 

名古屋の弁護士 山口統平法律事務所
名古屋の弁護士 山口統平法律事務所