「うちは昔からこうしてるから」「特に問題が起きてないから」──そんな理由で運用されている社内ルール、ありませんか?
でもちょっと待ってください。
それ、“法的にはグレー”かもしれません。
今回は、実際にご相談の多い「企業がやりがちだけど危ない」社内ルールを5つ、弁護士目線でご紹介します。
1. 【試用期間中は有給なし】
「有給取得は試用期間が終わってから半年後ね」
このフレーズですが、法律的には完全アウトです。
労働基準法では、雇い入れの日から6か月継続勤務し、一定の出勤率を満たしていれば、有給休暇は付与されます。
試用期間であっても“雇用契約が成立していれば”カウントは始まっているのです。
2. 【退職は3か月前までに申し出ること】
「就業規則にそう書いてあるので」
これも要注意。
民法上、期間の定めがない雇用契約の場合、退職の申し出から2週間で終了するのが原則です。
就業規則に「3か月前」と書いてあっても、それが法的に強制力を持つとは限りません。
トラブルになると「違法な拘束」と判断されかねません。
3. 【“ノー残業デー”でも実は残業が常態化】
「今日はノー残業デーだけど…今月はずっと残ってるなあ」
名ばかり“ノー残業”もリスク大。
表向き「残業なし」を掲げていても、実態として残業が常態化していれば労働時間の管理責任が問われます。
残業代未払いとされるおそれもあるので、実態の把握と是正が必要です。
4. 【社内イベント“参加自由(ただし空気は読む)”】
「強制じゃないけど…まぁ出るよね」
忘年会や研修旅行など、“自主的参加”を建前にしたイベント、ありませんか?
実態として参加しないと評価に影響がある、無言の圧力がある場合、「労働時間」とみなされる可能性もあります。
費用の自己負担も問題視されることがあるため、本当に自由か?明確にルール化する必要があります。
5. 【“昼休み1時間”でも電話当番は交代制】
「昼休憩中だけど、誰かは電話を取らないとね」
これは見落とされがちですが、休憩時間に業務をさせていれば“労働時間”です。
電話当番を交代制で置いているような場合、その人は休憩を取れていないとみなされるリスクがあります。
法律上、休憩時間は“自由利用が保障されていること”が条件です。
まとめ:ルールは「習慣」より「法令」に基づいて
いかがでしたか?
「当たり前」に感じていた社内ルールでも、法律とズレがあると、いざというときに大きなトラブルにつながる可能性があります。
就業規則や社内運用の見直しは、“平時”の今こそがチャンス。
当事務所では、就業規則のリーガルチェックや社内体制整備のご相談も承っております。
「うちは大丈夫かな?」と思ったときは、お気軽にご相談ください。
※本記事は2025年6月時点の法令に基づいて作成しています。