相続放棄は、被相続人の死亡を知った日から3か月以内に家庭裁判所へ申述する必要があります(民法第915条)。しかし、実際の事例では、この「3か月ルール」に関して誤解や見落としが生じることがあります。
事例1:死亡から3か月以上経過しても相続放棄が認められる可能性
Aさんのもとに兄の債権者から督促状が届いたAさん。兄が3ヶ月以上前に亡くなったことをこの督促状で知りました。兄の死亡から既に3か月が経過していたため、相続放棄ができないと考えていたAさん。しかし、兄とは絶縁状態で、死亡の事実を知ったのは債権者からの督促状が届いたときでした。民法では、相続放棄の期限は「相続開始を知ったときから3か月以内」と定められており、Aさんは督促状を受け取ってから3ヶ月以内であれば相続放棄が認められる可能性があります。
事例2:7年後に借金を知った相続人が放棄を認められる可能性
Bさんが高校生のときに父親が亡くなり、母親が葬儀や手続きを行ったため、借金の存在を知らされていませんでした。7年後、父親の借金が発覚し、相続放棄を希望しました。通常、相続放棄の期限は3か月ですが、相続財産が全く存在しないと信じたことに相当な理由がある場合、相続財産の存在を認識した時から起算することが認められています。Bさんも、相続財産が存在しないと父母から言われていた場合などには、相続放棄が認められる可能性があります。
相続放棄のポイントと注意点
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期限の起算点:相続放棄の3か月の期限は、被相続人の死亡を知った日ではなく、「自己のために相続の開始があったことを知った日」から起算されます。
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相続財産の処分:相続財産を処分すると、相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなる可能性があります。
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申述の却下:相続放棄の申述が却下された場合、2週間以内に即時抗告をする必要があります。このような場合、速やかに弁護士に相談することが重要です。
まとめ
相続放棄は、期限や手続きに関して複雑な要素が多く、誤解や見落としが生じやすい分野です。特に、相続人であることを知らなかった場合や、相続財産の存在を後から知った場合など、例外的なケースも存在します。そのため、相続に関する疑問や不安がある場合は、早めに弁護士に相談し、適切な対応を取ることが重要です。
